【7月18日 AFP】ウクライナ東部の親ロシア派支配地域上空を飛行中に撃墜されたとみられるマレーシア航空(Malaysia AirlinesMH17便は、アジア太平洋地域の航空各社が安全を懸念して数か月前から飛行を避けていた空域を飛んでいた。

 韓国の2大航空会社、大韓航空(Korean Air)とアシアナ航空(Asiana Airlines)、オーストラリアのカンタス航空(Qantas Airways)、台湾の中華航空(China Airlines)は、ロシア軍が今年3月上旬にクリミア(Crimea)半島に派遣されたことを受けて、運航便の航路を変更していたことを明らかにした。

 アシアナ航空の広報担当者は「安全上の懸念からウクライナ上空の飛行を中止した」と述べた。大韓航空の関係者はAFPに、「同地域の政情不安を理由に」運航便の航路を3月3日からウクライナの南方250キロにずらしたと語った。

 カンタス航空はウクライナ上空を通過していたロンドン(London)発ドバイ(Dubai)行きの便の航路を「数か月前」に変更したという。台湾の中華航空も4月3日に航路を変更していた。

 航路を変更すれば飛行時間が延びるため、燃料費も増加する。マレーシアのナジブ・ラザク(Najib Razak)首相は18日、マレーシア航空がなぜ同様の予防措置をとらなかったのかとの質問に対し、「同機の航路は、国際民間航空機関(International Civil Aviation OrganizationICAO)によって安全と宣言されていた。国際航空運送協会(International Air Transportation AssociationIATA)も、同機が通過していた空域は飛行制限の対象とはなっていないと言明していた」と説明した。

 シンガポール航空(Singapore Airlines)は声明で、ウクライナ上空を飛行していた便の航路は全て変更済みだと述べたが、変更がいつ行われたのかは明らかにしなかった。香港(Hong Kong)のキャセイパシフィック航空(Cathay Pacific Airways)は、ウクライナの空域は「かなり前から」使用していないと発表した。

 一方、日本航空(Japan AirlinesJAL)や全日空(All Nippon AirwaysANA)、ガルーダ・インドネシア航空(Garuda Indonesia)などは、運航便がウクライナ上空を通過する航路をとったことは過去にないとしている。

 欧州の航空管制調整機関である欧州航空航法安全機構(ユーロコントロール Eurocontrol)によると、ウクライナ当局はマレーシア機墜落の直後、同国東部を飛行禁止区域に設定した。(c)AFP