■商品配達から人道支援、報道まで

 北米や欧州では、無人機技術の発達を受けて政治家たちが慌てて「空の規制」の方法を検討している。軍用無人機と異なり、民間無人機は20分しか飛行が認められず、積載できる装備も小型カメラ程度に限られているが、大企業がこの規制の緩和を模索し始めているのだ。

 インターネット小売り最大手の米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)は昨年のクリスマス商戦の際、小型無人機による商品配達計画を発表し、大いに注目を集めた。

 また、ロシアのファストフード店「ドードー・ピザ(Dodo Pizza)」は今年6月、無人機を使ったピザ配送を開始したと発表。チェーン展開する18都市にサービスを拡大する意向を表明している。(動画:https://www.youtube.com/watch?v=5l22FmvEysA)

 一方、人道支援における無人機の活用を目指す大学発ベンチャー「マターネット(Matternet)」のアンドレアス・ラプトポロス(Andreas Raptopoulos)最高経営責任者(CEO)は、無人機をネットワークで運用し、紛争や自然災害で被害を受けた地域へ食糧や医療品を運ぶ構想を掲げている。

 マターネットは既にハイチで無人機の試験飛行を実施済みで(動画:http://vimeo.com/51498640)、9月には国際医療支援団体「国境なき医師団(Doctors Without BordersMSF)」と協力して血液サンプルの輸送を行う予定だ。

 国連(UN)も、アフリカ・コンゴ民主共和国東部のウガンダやルワンダと国境を接する地域で昨年12月以降、武装勢力の活動監視に無人機を運用している。(動画:(http://www.unmultimedia.org/tv/unifeed/2013/12/drc-drones-launch/)

「想像力豊かに運用すれば、無人機は将来、民族間紛争の兆候を発見したり、がれきの中から生存者を見つけたりできる。致死性の病原体の流行を阻止するために住民の体温を測定するといった、突飛な使い方だって可能だ」と、米国特使を務めた経験もある国際保健外交の専門家、ジャック・チョー(Jack Chow)氏は指摘する。

 報道機関もまた、「無人機ジャナーリズム」の可能性を検討中だ。カナダのジャーナリズム専門学校では、無人機を活用した取材に特化したコースも始まっている。