同性愛扱う児童書を破棄、シンガポール国立図書館に抗議続々
このニュースをシェア
■米長寿コミックにも発禁処分
こうした中、シンガポール・メディア開発庁(Media Development Authority、MDA)は16日、AFPに宛てた声明で、1950年代から続く米国の長寿コミックシリーズ「ライフ・ウィズ・アーチー(Life with Archie)」の中の「アーチー:結婚生活 第3巻(Archie: The Married Life Book Three)」について、同国の「社会的規範」に背いているとして、今年3月に発禁処分としていたことを認めた。
2013年に出版されたこの巻は、同シリーズの主人公アーチー・アンドリュース(Archie Andrews)の友人で、シリーズで初めて同性愛者であることを公にしたキャラクターとして描かれたケビン・ケラー(Kevin Keller)とアフリカ系米国人の同性パートナー、クレイ・ウォーカー(Clay Walker)との結婚生活を描いた計6号分のコミックを1冊にまとめたもの。
メディア開発庁は声明で、一般からの苦情1件をきっかけに内容を見直し「同性婚に関する描写はガイドラインに違反していると判断した」「よって国内の販売業者に対し、同コミックを輸入したり、小売店に流通させたりしないよう通達した」と説明している。
メディア開発庁の発表と同じ16日に米国で発売された「ライフ・ウィズ・アーチー」最新号では奇しくも、米上院議員の友人ケビンを暗殺から守ろうとして、主人公アーチーが亡くなる展開になっている。
シンガポールでは、英国の植民地だった時代にさかのぼる刑法の条項に基づき、同性同士による性行為が違法とされており、違反者は最大で禁錮2年が科されることになっている。
だが同性愛者の権利擁護活動は近年勢いを増しており、先月28日に開かれた集会には、イスラム教やキリスト教の保守派によるインターネット上での対抗運動にもかかわらず、2万人を超える参加者が集まった。(c)AFP