■「正しい道」の象徴、国旗・国歌に抵抗ない若者たち

 ドイツが前回優勝した1990年W杯は、東西ドイツを隔てたベルリンの壁(Berlin Wall)が1989年11月9日に崩壊してから、翌10月3日にドイツ統一がなされるまでの間に開催された。ベルリン自由大学(Berlin Free University)のギュンター・ゲバウアー(Gunter Gebauer)氏は、「全国民の高揚感を代表チームが加速した」と当時を振り返る。

 ドイツ人のサッカー熱は2006年W杯ドイツ大会で再び最高潮に達したが、このとき戦後かなり経ってから生まれた若い世代のサッカーファンは、スタジアムで国旗を振ることにあまりためらうことなく、かつては考えられなかった国歌の斉唱にもそれほど抵抗感を示さなかった。

 これについてホルスト・ケーラー(Horst Koehler)大統領(当時)は、日刊紙ビルト(Bild)に「われわれは、1945年以降にドイツが成し遂げてきたことについて誇りを持つという正しい道を歩んでいる」と語っている。

 今大会の準決勝、ドイツ対ブラジル戦のドイツ国内のテレビ視聴者数は、史上最多の3257万人を記録した。そして13日、ドイツが延長戦の末にアルゼンチンを1-0で破り通算4度目のW杯制覇を果たした試合では、3465万人のドイツ国民がテレビ中継を見守り、視聴者数最多記録を再び更新した。(c)AFP