【7月9日 AFP】米食品医薬品局(US Food and Drug AdministrationFDA)の貯蔵室から、天然痘ウイルスの入った薬瓶一式が見つかり、当局がその由来について調査していることが、米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)の8日の発表で分かった。

 天然痘は感染力が非常に高く、時に死に至る疾患で、世界規模のワクチン計画によりすでに撲滅されている。米国に最後に感染例が確認されたのは1949年。世界的にはソマリアで1977年に確認された例が最後だ。

 CDCの声明によると、薬瓶は米首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)に近いメリーランド(Maryland)州ベセスダ(Bethesda)にある米国立衛生研究所(US National Institutes of HealthNIH)内のFDA研究施設で、現在は使用していない貯蔵室の区画から見つかった。「天然痘」と書かれたラベルが貼られており、1950年代のものとみられている。

 CDCによれば、瓶が開けられた形跡はなく「現場のバイオセーフティー専門家は、研究職員や一般が感染する暴露リスクは確認していない」という。瓶はすでにジョージア(Georgia)州アトランタ(Atlanta)にあるCDC本部の厳重警備の研究室へ移された。

 初期段階の検査で天然痘の陽性反応が出ており、今後さらにウイルスに生存能力があるかどうか、組織培養ができるかどうか検査した後、廃棄される予定。「もしも生存能力が備わっていた場合、天然痘試料を公式に保管している2か所以外で発見された例であるため、これらの天然痘試料を廃棄する際には、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)職員に立ち会ってもらう」という。

 天然痘ウイルス試料の保管については国際協定で、CDC本部と、ロシアのノボシビルスク(Novosibirsk)にあるロシア国立ウイルス学・バイオテクノロジー研究センター(VECTOR)の2か所しか認められていない。(c)AFP/Kerry SHERIDAN