【7月2日 AFP】カナダ最高裁は6月26日、先住民の土地所有権を認める判決を同国史上初めて下した。

 裁判に勝利したのは、カナダ西部ブリティッシュコロンビア(British Columbia)州に約3000人が住む先住民で半遊牧民のチルコティン(Tsilhqot'in)。チルコティンの土地所有権を認めたこの歴史的な判決は、先住民たちによる同様の申し立てで係争中の他の裁判や、同国の鉱山事業や森林伐採など資源開発プロジェクトにも影響を及ぼす可能性がある。

 ブリティッシュコロンビア州の控訴裁判所は2012年に、チルコティンが同州中部について先祖代々の土地所有権を主張した訴えを棄却していた。理由として控訴裁は、チルコティンはただ広大な土地の権利を主張するのではなく、欧州人が到達したときにチルコティンの先祖が居住していた場所を特定して示す必要があると述べていた。

 しかし今回、最高裁はこの控訴裁の判決を覆し「先住民の権利は居住していた特定の土地に限られるものではなく、彼らが日常、狩猟や漁業といった資源の活用を行い、欧州(の入植者)が統治権を主張した時点で、先住民たちが実質的な支配権を有していた土地全体に及ぶ」と強調した。

 最高裁判決により、チルコティンが先祖代々の土地と考える場所での商業伐採を州政府が認可して以来、何十年も続いていた係争の幕が閉じた。

 また最高裁判決はチルコティンに絶対権を与えるものではないが、州政府は今後、切迫した真の公共政策目標があることを証明しない限り、チルコティンの同意なしに、あるいは適切な補償をせずに該当地域内の資源開発プロジェクトを認可することはできなくなった。(c)AFP