【6月26日 AFP】南米ボリビアの議会議事堂にこのほど「反時計回り」に時を刻む新しい時計がお目見えした。通常の時計と異なり、文字盤には左回りに数字が並ぶ。針も左回りに進む。南半球に暮らす人々に敬意を表したものだという。

 政府所在地のラパス(La Paz)中心部にある議事堂にはこれまで、通常の時計が設置されていた。

 新しい青銅製の時計についてマルセロ・エリオ(Marcelo Elio)議長は24日、「この逆転時計はわれわれにとって、北が南になることを示している」とコメント。「北半球における不公平を、南半球に出現するであろう新たな世界秩序によって終わらせる」必要があることを、新時計の導入を通じて提起したいと説明した。

 だが、「逆転時計」にラパス市民は驚き、野党議員からは説明を求める声が上がっている。ボリビア議会は、先住民アイマラ(Aymara)人で中南米の極左勢力の指導者でもあるエボ・モラレス(Evo Morales)大統領率いる左翼与党MASが議席の過半数を占めている。

■太陽の動きと一緒?

 大統領と同じくアイマラ人のダビド・チョケワンカ(David Choquehuanca)外相は国営通信ABIに対し、新しい時計には「われわれのアイデンティティーを回復する時が来た」ことを示す狙いがあると明かした。

 チョケワンカ外相は「南半球では、太陽は(右から)左に向かって動く。北半球とは逆向きだ」と述べ、南半球では新しいこの反時計回りの時計こそ「太陽の時計、自然の時計だ」と強調した。(c)AFP