【6月19日 AFP】20世紀美術の巨匠パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)作の「青い部屋(Blue Room)」に、ひげを生やした男性を描いた別のピカソの絵が隠されていることが判明した。同絵画を所蔵する米美術館が発表した。

「青い部屋」はピカソの「青の時代」に当たる1901年の作品で、寝室で入浴する女性が描かれている。

 だが、1927年以来この絵画を所蔵する米ワシントンD.C.(Washington D.C.)の美術館「フィリップス・コレクション(Phillips Collection)」のスー・フランク(Sue Frank)学芸員補によると、この絵画には別の絵画が隠されている可能性があることが、1950年代から専門家らによって指摘されていたという。

 2008年には絵画の赤外線解析が行われ、「青い部屋」の裏に別の絵画が隠されていることが分かっていた。だが、ここ数か月の間に行われた顔料の分析によって初めて「この知られざる肖像画がピカソの作品である」(フランク氏)と確信を持って言えるようになったという。

 分析は、フィリップス・コレクションとワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー(National Gallery of Art)、デラウェア(Delaware)州のウィンタースール博物館(Winterthur Museum)、コーネル大学(Cornell University)が共同で実施した。

 現在は、絵画の男性が何者であるかの調査が続いている。男性の年齢は40代で、着ている衣服から比較的裕福であることがうかがえると、フランク氏は説明する。美術商アンブロワーズ・ボラール(Ambroise Vollard)や美術評論家ギュスターヴ・コキオ(Gustave Coquiot)などの候補が挙がっているが、完璧に一致する人物はまだ見つかっていない。

 フランク氏は、「当時キャンバスは高価で(ピカソは)とても貧しかった」ために、キャンバスを再利用した可能性があると指摘。絵画の上に別の絵画が重ねて描かれている例は「青い部屋」以外にもあると付け加えた。(c)AFP