【3月23日 AFP】これまで作者不明とされていた絵画が、最新のエックス線鑑定によりビンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh)の作品だったことが判明したと絵画を所蔵するオランダのクレラー・ミュラー(Kroller-Muller)美術館が20日、発表した。

 この絵画は1974年から同美術館が所蔵している「野花とバラの静物画」。ゴッホが描いた可能性が指摘されながらも、2003年に「作者不明」とされた。だが今回の鑑定で絵の具の特徴などが一致し、ゴッホの作品であることが確認された。

 同美術館広報のシルビア・ヘンテナール(Sylvia Gentenaar)氏はAFPに対し「最新のエックス線技法による鑑定で、(ゴッホの作品であることに)疑いの余地はなくなった」と述べた。

 今回の鑑定では、静物画の下に2人のレスラーが描かれていることも判明。オランダのデルフト工科大学(Technical University Delft)、ベルギーのアントワープ大学(Antwerp University)、クレラー・ミュラー美術館、ドイツ電子シンクロトロン(DESY)の研究チームによる鑑定結果は、このレスラーにはゴッホ独特のタッチが見られると結論付けた。

 ヘンテナール氏によれば、レスラーたちは全裸ではなく腰まわりに衣服のようなものを身につけているが、これはゴッホが1885~86年まで通っていた「アントワープ・アカデミー(Antwerp Academy)の特徴だという。

 同作品はオランダ東部オッテルロ(Otterlo)にある同美術館で、20日から展示されている。

 ゴッホは1853年3月30日、オランダに生まれ1886年からパリに居住。ここで印象派の影響を受けた。1890年7月にフランスのオーベール(Auvers)でピストル自殺。37歳だった。 (c)AFP