【6月17日 AFP】中国が現在の景気減速に歯止めを掛けるために、2008年に発表した4兆元(約65兆円)の景気刺激策のような大型の対策を再び打ち出す可能性は低いが、最近の中国が小刻みに対策を打ち出していることは、中国が景気刺激策と完全に決別することはできないことを示しているとアナリストたちは指摘している。

 今年の経済成長率が目標である7.5%を下回ると失業率が上がり、社会不安のきっかけになる恐れもあるため、中国の政策決定者たちはこの水準を守る方策を探している。

 中国人民銀行(中央銀行)は9日、景気下支えの一環として、農村部の銀行など一部の銀行の預金準備率を引き下げると発表した。預金準備率とは、金融機関の預金総額のうち、中銀への預け入れが義務づけられている比率のこと。引き下げはここ2か月で2度目となる。

 中国の李克強(Li Keqiang)首相は11日、中国の西部と東部をつなぐ輸送インフラを整備する、長江(揚子江、Yangtze River)流域開発計画の詳細を発表した。

 アナリストたちは、今年これまでに打ち出された一連の経済政策について、政府が当初行うとしていた小規模の刺激策の範囲を超えていると指摘。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のエコノミスト、リュウ・リーガン(Liu Li-Gang)氏はAFPに、「いわゆる『ミニ刺激策』や『微調整』の範囲は確実に超えている。だが、大規模な刺激策でもない」と述べた。「投資拡大の傾向が若干進むかもしれないが、金融危機の際の4兆元の景気対策には遠く及ばない」

 バークレイズ・キャピタル(Barclays Capital)のアナリスト、ジアン・チャン(Jian Chang)氏によると、「現在の指導部は08~09年のような大型刺激策を再び実施することは選択肢から外している」という。

 李首相は今年3月、14年の経済成長率の目標を7.5%前後と表明。目標は達成可能と再三明言している。12、13年の成長率はいずれも7.7%で、1999年以降では最も低かった。

 中国の今年第1四半期の国内総生産(GDP)伸び率は前年同期比7.4%と、13年第4四半期の7.7%から低迷。12年第3四半期の7.4%と並ぶ低い伸びとなった。

 野村インターナショナル(Nomura International)のエコノミスト、ウェンディ・チェン(Wendy Chen)氏はAFPに「第2四半期の成長率が予想を下回れば、中国政府は一層の景気対策を取る可能性が高い」とした上で、「第2、第3四半期に、金融と財政の両面で一段の刺激策が打ち出される」との見方を示した。

 中国は7月16日に第2四半期のGDPを発表する。(c)AFP/Bill SAVADOVE