【6月17日 AFP】米大リーグ(MLB)の殿堂入りを果たし、サンディエゴ・パドレス(San Diego Padres)のスラッガーとして、一時は同球団の顔になったトニー・グウィン(Tony Gwynn)氏が16日、がんのため死去した。54歳だった。

 パドレスによると、サンディエゴ(San Diego)近郊の病院で息を引き取ったグウィン氏は、長年唾液腺がんと闘っていたという。

 「ミスター・パドレス」として知られたグウィン氏は、パドレスでプレーした約20年間で、合計3141安打、打率.338を記録し、2001年に現役を引退した。

 パドレス一筋のグウィン氏の背番号19が、2004年に同球団の永久欠番となると、野球殿堂入りの資格を得た2007年、グウィン氏は1年目にして殿堂入りを果たした。

 MLBでの選手生活を終えた後、グウィン氏は母校のサンディエゴ州立大学(San Diego State University)で指導者として尽力した。

 現役生活では、7回のシルバースラッガー賞(Silver Slugger)と5回のゴールドグラブ賞(Gold Glove)を獲得しているほか、MLB史上2番目に多い8回の首位打者にも輝いている。

 MLBコミッショナーのバド・セリグ(Bud Selig)氏は、グウィン氏について、「パドレス史上最高の選手であり、MLB史上最強の打者の1人でした」と述べ、「人柄も快活で朗らかでした」と回想した。

 セリグ氏はまた、「30年以上にわたり、トニー・グウィンは国民的娯楽である野球界の友好の懸け橋になってきました。彼に触れた大勢の人が、深い悲しみに包まれるでしょう」と述べた。

 高校とサンディエゴ州立大学でスター選手として活躍した後、プロに転向した息子のトニー・グウィンJr.(Tony Gwynn Jr.)は、ツイッター(Twitter)上に、「今日、僕は父と親友と師を失った」と投稿すると、「すごく寂しいよ。誇りに思ってくれるように、これから全力を尽くすつもりだ!愛してるよ、父さん!」と亡き父を悼んだ。

 2009年に右頬の悪性腫瘍を切除したグウィン氏は、現役時代に長年親しんだかみたばこが、この疾患を引き起こしたと信じていると語っていた。

 パドレスによると、グウィン氏はその後も2度がんを再発させ、2012年には腫瘍を縮めるための放射線治療を受けていた。また、その年には腫瘍の周りを走る神経を、肩から取り出したものに代える手術を受けたという。

 パドレスは声明で、「われわれは、チームメートであり、友人であり、伝説の名選手であるトニー・グウィンに別れを告げることに、深い悲しみを覚えています」と述べ、「安らかに眠れ、ミスター・パドレス」と締めくくった。(c)AFP