【6月16日 AFP】バングラデシュの保健当局は15日、致死率が高い中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory SyndromeMERS)の同国初の感染者が確認されたと発表した。同国生まれで米国在住のこの感染者は、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ(Abu Dhabi)経由で母国に帰国した数日後に病院に収容されたという。

 疫学・疾病対策研究所(Institute of Epidemiology, Disease Control and ResearchIEDCR)のマフムジュール・ラーマン(Mahmudur Rahman)氏はAFPの取材に対し、感染者の53歳男性の症状は快方に向かっているが、男性は現在も首都ダッカ(Dhaka)にある病院の集中治療室に入院していると述べた。

 ラーマン氏は「男性はバングラデシュ生まれだが米国に住んでいる。バングラデシュには6月4日に到着し、2日後に発病した。アブダビ空港で過ごした3時間かもしくは飛行機内でMERSウイルスに感染した可能性が高い」、「一連の検査の結果、昨日、男性がMERSウイルスに感染していることが確認された」と語った。

 バングラデシュでMERS感染が確認されたのは今回が初めて。ラーマン氏によると、同国はMERSの症例を報告した22番目の国になるという。

 エジプト、ヨルダン、レバノン、イラン、オランダ、UAE、米国、アルジェリアなどの国々で報告されているMERS感染者は、大半がサウジアラビアを訪れた人々の中から発生している。

 サウジアラビアでMERSが初めて確認された2012年以降、同国では284人がMERSで死亡し、感染者数は数百人以上に上っている。

 ラーマン所長は、バングラデシュへのMERSウイルスの到来は時間の問題にすぎなかったと指摘した。中東にはバングラデシュ人労働者が約300万人おり、うち3分の2以上がサウジアラビアに滞在している。(c)AFP