■「テフロン・タイ」

 タイ経済はクーデター以前も、6か月に及ぶ反政府デモの影響で、消費者信頼感の低下、外国人観光客の減少など、打撃を受けていた。タイ政府発表の統計によると、今年第1四半期の国内総生産(GDP)は前期比2.1%減少。第2四半期もマイナス成長が続き、景気後退に陥ることが懸念されている。

 経済立て直しのため、軍事政権は中小企業への支援や税制改革、国境付近における経済特区の創設などを約束。さらに、今回のクーデターで失脚したインラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)前政権が始めたインフラ整備事業の見直しを行っている。これらのインフラ事業は、縁故主義と政治腐敗であると非難の声が上がっていた。

 ただこれまでのところ、軍事政権が示した具体的な政策は、政治混乱で滞っていたコメ買い取り制度を再開し、農業従事者に計28億ドル(約2900億円)を支払うことだけだ。

 これまで幾多の政治的混乱から回復してきた強さから「テフロン・タイ(Telfon Thailand)」の異名を持つタイ。しかしエコノミストたちは、現在の政治的な不確実性が経済に影響を及ぼすのは必至だとみている。アヘリン氏は「投資家の最大の懸念は、長期の不安定さの結果、一貫性を欠いた経済政策が行われることだ」と指摘している。(c)AFP/Amélie BOTTOLLIER-DEPOIS