【6月7日 AFP】これまで富裕層やセレブが利用してきたプライベートジェットのサービスを一般の人も利用しやすい形で提供する企業がここ数年で増えてきている。ネット技術の導入や企業間の競争が価格引き下げにつながり、1時間550ユーロ(約7万7000円)といった魅力的なフライトも用意されている。

 プライベートジェットの予約サービス会社、プライベートフライ(PrivateFly)の創業者で最高経営責任者(CEO)のアダム・トワイデル(Adam Twidell)氏によると、欧州のチャーター市場だけでも500社を超える運航会社と2500機以上のプライベートジェットが存在するという。

 乗客を目的地で降ろした後、乗客が誰もいない状態で次のチャーター場所へ向かう空っぽのフライト(エンプティー・レグと呼ばれる)がフライト全体の30%以上を占めるという。そこでプライベートフライは、プライベートジェットのチャーター便の提供という通常のサービスに加え、オンラインでフライトの需要と供給をマッチングするシステムを導入し、空っぽのフライトを減らすことを目指している。

 同社のウェブサイトでは出発地と行き先、出発日が決まっているエンプティー・レグの一覧が載っていて、そこから自分の旅程に合ったフライトを探せるようになっている。エンプティー・レグだと通常価格より最大で75%も安い料金で利用できるという。例えば、英ブリストル(Bristol)から仏カンヌ(Cannes)まで飛ぶ定員7人のフライトが、通常価格8730ポンド(約150万円)の半分以下の3630ポンド(約62万円)で利用できることもある。

 トワイデル氏は「2008年の立ち上げ当初は、プライベートジェットをオンラインで予約する人なんて誰もいないと皆に言われた。でも私たちはそれを何度も覆している」と語った。また、「需要と供給を一致させて効率化を図り、高い透明性とコストパフォーマンスを顧客に提供するのに、技術が重要な役目を果たしている」と話した。「これは航空会社、ホテル、レンタカーなど旅行関連の他の分野で既に起きていることだ」

 仏パリ(Paris)に本拠を置くWiJetは最近、エールフランス(Air France)と提携し、ファーストクラスの乗客を最終目的地に送り届けるサービスを始めた。定員4人の小型ジェット機「サイテーション・マスタング(Citation Mustang)」でのフライトは1時間当たり2200ユーロ(約30万円)。乗客1人当たりにすれば550ユーロだ。

NetJetsは、プライベートジェットというニッチ(隙間)市場にビジネスチャンスを見出した最初の企業で、ジェット機は欲しいが購入・保有にはためらいがある人たちに、機体を共同で所有するシステムを提供した。

 NetJetsは、米著名投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)の子会社。世界で就航しているNetJetsのジェット機は700機に上る。NetJetsのサービスを利用して、ジェット機の分割所有権を持つ人は約3700人、年間で一定のフライトの権利が与えられるカードを保有する人は欧米で約3900人いるという。(c)AFP/Delphine TOUITOU