【6月5日 AFP】アイルランドで、カトリック教会の修道女らが運営していた未婚の母親のための施設の近くに、約800人の乳幼児が埋葬された集団墓地が見つかったとの調査結果が4日、発表された。同国のカトリック教会が抱える暗い歴史に、新たな一筋の光を投じる発見だ。

 調査を行った歴史家のキャサリン・コーレス(Catherine Corless)氏によると、ゴールウェー(Galway)州チュアム(Tuam)にあった未婚の母のための施設「セント・メアリーズ(St Mary's)」の死亡記録から、施設が運用されていた1925~61年の35年間に、新生児から8歳までの796人の遺体が、現在は使われていない汚水処理タンクの中に埋められていたことが分かったという。

 大量の人骨が入った汚水処理タンクは、1975年にタンクを覆っていたコンクリートの厚板が壊れたことから、地元住民らによって発見されていた。しかし、これまで住民たちは、これら人骨は主に数十万人が犠牲となった1840年代のジャガイモ飢饉(ききん)での死者のものだろうと考えていた。

 セント・メアリーズは、20世紀初頭のアイルランドにいくつか存在した、いわゆる「マザー・アンド・ベビー・ホーム(母親と子どものための施設)」の1つで、ボン・セクール修道女会(Bons Secours Sisters)が運営していた。

 当時、未婚で妊娠したために「堕落した女性」のレッテルを貼られた数千人の女性たちが、出産のためにこうした施設に送られていた。女性たちは、カトリックの信仰に基づく保守的な社会から排斥され、産んだ子を養子に出すよう強要されることも多かった。