【6月9日 AFP】もはや伝説的な存在となっているペレ(Pele)をはじめ、多くのサッカー界のレジェンドを生んできたブラジル──そんなサッカー大国を語る上で欠かせないのが、子ども時代のストリートサッカーだ。

 そうした「生」の情熱を写真に捉える方法はないかと、AFP通信リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)支局の主任フォトグラファー、クリストフ・シモン(Christophe Simon)氏は模索していた。そこで思いついたのが、ファベーラと呼ばれる貧困層が多く住む地域のうち、「シティ・オブ・ゴッド」を意味するシダーデ・デ・デウス(Cidade de Deus)の子どもたちが、彼らなりの方法でサッカーへの愛情を記録できるようカメラを渡すことだった。

「ブラジルのファベーラでは、子どもたちはサッカーをしている。いつでも、どこへ行ってもだ。ぼろぼろのサッカーボールを、ほこりっぽい空き地で、壁に向かって蹴っている──サッカーW杯の前に、このブラジルのサッカーへの情熱を描く方法を探していた。子どもたちに自分たちの目を通して情熱を見せてもらう以上の方法はないだろう」(シモン氏)

 シモン氏は2010年にリオに赴任して以来、このファベーラで治安当局による「平定」作戦を何度も見てきた。サッカーW杯と2016年のリオデジャネイロ五輪を前に、この貧困地域のイメージを改善しようとする行政による取り組みの一環だ。

 シモン氏は、「カメラセットを担いで薄暗い路地を縫って歩き、作戦を遂行する軍や警察の姿を追った。そのたびに私の仕事に魅せられたかのように、子どもたちが寄って来た。私の後を付いて回り、無数の質問をしてきた。私も50歳になった。自分の持っているスキルを若い人たちに伝えたくなる年齢だ。そこからアイデアが生まれたんだ」とプロジェクトの背景について述べた。

 プロジェクトでは、リオの中でも最も悪名高いファベーラのシダーデ・デ・デウスで写真店を経営するトニー・バロス(Tony Barros)さんに大いに助けてもらったというシモン氏。「トニーはすぐに最高の協力者になったよ。地域社会への私のパスポートだった」。バロスさんとは、この地域で「モダフシオン(Modafusion)」という名のファッション学校を運営する友人、ナディーヌ・ゴンサレス(Nadine Gonzalez)さんを通じて出会ったという。

 シモン氏によると、このプロジェクトについてカメラメーカーのニコン(Nikon)に相談したところ、防水カメラ10台を提供してくれたという。