■中田氏、引退は「後悔していない」

 ブラジルW杯に沸く人々の姿を見ても、中田氏は自身の決断が間違っていたとは思わないという。

 現役時代、日本代表として77試合に出場し11得点を挙げた37歳の中田氏は、「一つ後悔し始めたら、人生のすべてのことを悔いなければならない」と語る。

「大きな大会での試合を見ると、いつもプレーしたいと思います。でも、僕の決断はそんなに簡単でも、軽いものでもなかったんです」

「もちろん、死ぬまでプレーしたいとは常に思っていますが、引退を決めたとき、プロとして再びプレーすることは考えない方が良いと思いました」

 日本のスタイルアイコンで、「アジアのデビッド・ベッカム(David Beckham)」と呼ばれることもある中田氏は、引退後に誰も想像しなかった道を歩んだ。

 ローマ、パルマ(Parma FC)、ボルトン・ワンダラーズ(Bolton Wanderers)などでプレーした経験を持つ中田氏は、3年をかけて世界各地を巡り、そこで自国についてよく知らないことに気付いてからは、日本文化に身を置いて、海外へ発信する活動に尽力するようになった。

 中田氏は、この活動を次のように説明した。

「ここ5年間は日本文化を学ぶため全国各地を回って、農家や職人、杜氏(とうじ)、そして寺社仏閣を訪ねてきました」

「21歳でイタリアに渡ったため、日本文化をよく知らなかった。そのため、日本各地を巡ろうと思ったんです。日本文化について最高のスポークスマンになりたいんです」

 中田氏は今夏、ブラジルで日本代表が新天地を切り開く様子を見届けるとしており、1998年の1次リーグ全敗に終わった日本が大きく進歩していることを信じている。

「日本はW杯の過去5大会に出場してきたので、今ではそれが普通のことだと思われている。もはや特別なことではないんです」

「チームにとっても同じで、W杯に出場するだけで満足できるわけがありません。今こそW杯に足跡を残し、次のステップに進むときです」

(c)AFP/Neil Wilkie