【5月30日 AFP】中国の戦闘機が東シナ海(East China Sea)上空で自衛隊機に異常接近したことについて、日本が中国に対し「危険な行為だ」と非難したことを受け、米国は29日、公海上空での緊張を招いているとして中国に警告した。

 米国務省のジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は「わが国は、中国が宣言した東シナ海空域の防空識別圏(ADIZ)設定を容認せず、中国に(ADIZの)実施をしないよう求める。中国に対しては引き続き、他国と協力して危険に対処し緊張を緩和するための緊急時の意思疎通経路を含めた信頼醸成措置を確立するよう求めていく」と声明を発表した。

 日本は前週24日に、自国のADIZと重なる東シナ海上空で中国のSU27戦闘機が、自衛隊のOP3C画像情報収集機に約50メートルまで接近したと主張している。防衛省によると、同じ空域で中国軍の別のSU27が、航空自衛隊のYS11EB電子測定機にも約30メートルまで接近したという。

 しかし中国側は29日、昨年11月23日に自衛隊のF15戦闘機2機が中国のY8輸送機に接近したとして、日本に反論した。

 サキ報道官は、米国はすべての国に「飛行中の航空機の安全を尊重する」よう求め、「国際空域の通過の自由を侵害するいかなる行為も域内の緊張を招き、誤算や衝突、不測の事態が起きる危険性を高めるものだ」と警告した。

 昨年11月に中国が日本のADIZと重なる空域にADIZの設定を宣言して以降、域内の緊張は高まっている。(c)AFP