【5月29日 AFP】韓国の旅客船セウォル(Sewol)号の沈没事故をめぐり韓国当局が行方を追っている運航会社「清海鎮海運(Chonghaejin Marine)」の事実上のオーナー、兪炳彦(ユ・ビョンオン、Yoo Byung-Eun)容疑者の娘が、フランスで身柄を拘束された。ただ、フランス当局は韓国側への身柄引き渡しには慎重な姿勢だ。

 仏司法筋によると、国際指名手配されていたユ・ソムナ(Yoo Som-Na)容疑者は27日に逮捕され、保釈申請は却下された。韓国当局は、高校生らおよそ300人の乗客乗員が死亡した事故の責任をめぐって同容疑者を聴取したい意向だが、フランス当局は韓国側の身柄引き渡し請求の正当性を確認する方針で、手続きには数か月かかる見込み。

 韓国当局は、兪容疑者とその長男のユ・テギュン(Yoo Dae-Kyun)容疑者について、旅客船の安全基準違反の疑いで行方を追っている。韓国政府は今週、兪容疑者にかけた懸賞金を当初の10倍の5億ウォン(約5000万円)に、テギュン容疑者の懸賞金を1億ウォン(約1000万円)に引き上げた。また、朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領は27日、兪一家を沈没事故の「根源」と批判した。

 韓国当局はこの他、米国在住の兪容疑者の息子1人についても着服や脱税、過失の容疑で聴取したい考えだ。兪一家は清海鎮海運の株主ではないが、テギュン容疑者やソムナ容疑者ら子どもたちと兪容疑者の側近が同社の経営を握っていたとされる。(c)AFP