【5月28日 AFP】ウクライナ政府は27日、東部ドネツク(Donetsk)にある空港をめぐって親ロシア派の武装集団との間で前日から続いていた激しい空爆や銃撃戦の末、空港を奪還したと発表した。

 工業の中心地である東部の交通の拠点で発生し、数十人が死亡した戦闘は、大統領選で勝利したペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)氏が「テロリスト」に対する強硬姿勢を明確に打ち出したわずか数時間後に始まった。

 暫定政権のアルセン・アワコフ(Arsen Avakov)内相は、「空港は政府側が完全に掌握した。敵は多大な損害を被ったが、われわれは無傷だ」と述べた。しかし、内相によれば軍は作戦を継続している。AFPの記者も、日中に散発的な銃声や爆発音が聞こえたと伝えている。

 ドネツクのオレクサンドル・ルキヤンチェンコ(Oleksandr Lukyanchenko)市長は、市民2人と戦闘員38人が死亡し、チェチェン人とみられる人物やロシア人も合わせて31人が負傷したと明らかにした。

 AFPの記者によれば、空港周辺の道路は銃弾を受けたダンプカーや積み上げたタイヤの山で封鎖されていたが、その近くに止まっていたトラックには多数の銃弾が撃ち込まれた。その周囲には、人間の体の一部や血液が飛び散っていたという。

 市民は屋内にとどまり、店舗やレストランも早々に店を閉めたことから、ドネツクの市街地は不気味なほど閑散とした様子だった。住民の男性は、「何が起きているのか住民にも分からない。何かが変だと皆が話している」と語った。

 一方、ウクライナの危機的状況の解消に向けて大きな役割を果たしている欧州安保協力機構(OSCE)は、デンマーク、エストニア、スイス、トルコから派遣され、ドネツクでパトロールにあたっていた監視員4人と26日から連絡が取れなくなっていると明らかにした。

 ウィーン(Vienna)にいるOSCEの関係者によると、4人は連絡を絶つ前、検問所で身柄を拘束されていた。ただ、トルコ外務省の関係者は、「非公式のルートを通じて、(4人の)安全は確認できた」としている。

 このほか、OSCEはウクライナ人ジャーナリスト2人が「スパイ活動」を行ったとして、ルガンスク(Lugansk)で親ロシア派に身柄を拘束されていると明かにした。OSCEによると、2人は運転手と共に今月25日に拉致され、親ロシア派が占拠する建物の中に拘束されているという。(c)AFP/Max DELANY with Tanya WILLMER in Kiev