【5月26日 AFP】米カリフォルニア(California)州で23日夜に起きた銃乱射事件で、地元当局は25日、警察が事件前に容疑者の男と接触していたものの、危険人物ではないと判断していたことを明らかにした。

 同州サンタバーバラ(Santa Barbara)郡のビル・ブラウン(Bill Brown)保安官が米CNNテレビに語ったところによると、当局は4月30日にエリオット・ロジャー(Elliot Rodger)容疑者(22)に関する情報を受け取っていた。

 地元の精神衛生当局はその後、同容疑者の状況をチェックするよう警察に要請。複数の郡保安官代理がロジャー容疑者を訪ねたが、「彼は内気で臆病、礼儀正しく、話し方も丁寧と判断した」という。

「彼は保安官代理らに、誤解があったと説明した…彼は、その時点では自分自身に対しても他人に対しても危険な存在ではないと信じさせることに成功した」(ブラウン保安官)

 ロジャー容疑者は23日、自宅のアパートで男性3人を刺し殺した後、近所で銃を乱射して若い女性2人と男性1人を殺害し、自殺したとみられている。ブラウン保安官が米CBSテレビに語ったところでは、さらに13人が負傷し、うち2人は現在「深刻な容体」という。

 ハリウッド(Hollywood)映画監督のピーター・ロジャー(Peter Rodger)氏の息子である同容疑者は、過去にアスペルガー症候群と診断されていた。

 また同容疑者が事件前、犯行の動機を説明する声明やインターネット動画を複数残していたことが判明したことから、なぜ犯行を防げなかったのかという疑問の声が高まっている。

 同容疑者は「僕のゆがんだ世界」と題した140ページに上る自伝風の声明で、警察の訪問についても言及。自殺を考えているかとの質問に対し、「機転を利かせ、全て誤解だと言ったら、彼らは最終的に去って行った」と綴っている。また、もし警察が部屋に入ることを要求していたら、隠していた銃や弾薬が見つかり「全て終わっていただろう」と回想している。

 さらに「エリオット・ロジャーの報復」と題された7分近いユーチューブ(YouTube)の動画では、「僕は22歳なのにまだ童貞だ。女の子にキスをしたこともない」と語り、自分を拒否した女性たちを「みんな罰してやる」と誓っていた。(c)AFP/Robyn BECK