【5月23日 AFP】チャールズ英皇太子(Prince Charles)が、カナダ訪問中に行った私的な会話の中でロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領をナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)になぞらえたと報じられたことを受け、ロシア政府は22日、次期国王にあるまじき「言語道断」の発言だとして、英国に対し怒りの抗議を行った。

 チャールズ皇太子は、ポーランド出身で幼少時代にナチスから逃れるためカナダに渡ってきたという女性と個人的に交わした会話の中で、ウクライナに関するプーチン氏の行動について「ヒトラーと同じことをしている」と語ったとされる。

 この発言が報じられると、ロシア外務省の報道官はモスクワ(Moscow)で、「もしこれらの発言が事実なら、間違いなく将来の英国君主にふさわしいものではない」として、「この発言に関し、英当局に公式な説明を求めた」と発表した。

 これを受けてロシアのアレクサンドル・クラマレンコ(Alexander Kramarenko)公使参事官は同日ロンドン(London)で、英外務省の中堅職員と会談。在英ロシア大使館はこれに先立つ声明で、クラマレンコ公使参事官が英国側との会談で「カナダでチャールズ皇太子が行った言語道断の発言」を議題にあげると表明していた。

 しかし英外務省はこの会談後、英側はクラマレンコ氏に対し「私的な会話に関する報道にはコメントのしようがない」と伝えたと明かした。さらに東欧と中央アジア担当の外交官、シアン・マクロード(Sian MacLeod)氏はその場を利用してロシアに対し、今週末予定されているウクライナ大統領選を妨害することのないよう釘を刺したという。

 同省のある報道官によると、「英国はロシアに対し、不安定さと衝突の原因となり、国際社会からの非難を受けるような行動は差し控えるよう促した」上で、「ウクライナで不安定な情勢が続けば、長期的に見て誰の得にもならない」と伝えた。