■バックパッカーに人気、貧民街での宿泊

 リオにもあるファベーラ(Favela)と呼ばれる都市の貧民街は、犯罪組織や麻薬密売組織の活動拠点となっている。増え続ける犯罪を「鎮静化」するために、ここ6年間は警察が介入してきた。

 平行して「おとなしくなった」ファベーラでは、小規模のホステルが増えてきた。コパカバーナビーチを見渡すことのできるホステルは、低予算で旅をするバックパッカーに人気だ。

 クリスティアーヌ・デ・オリベイラさん(42)は2010年にスラム街の一つ、シャペウ・マンゲイラ(Chapeu Mangueira)で宿泊所「ファベーラ・イン」を始めた。部屋は3部屋で、各室に2段ベッドとバスルームが備わり、Wi-Fiが使える。料金はオフシーズンで1泊1人20ドル(約2000円)、ハイシーズンでは25ドル(約2500円)だが「W杯中は45ドル(約4500円)にする」という。

 オリベイラさんは「メディアはファベーラの暴力的なイメージばかり映して、サンバや楽しいこと、互いに助け合う人たちの姿など良い面は決して伝えない」と嘆く。

 パブロ・ゴメスさん(35)も2013年に定員25人のホステルを開いた。W杯中はリオのカーニバルの時と同じ料金設定で、1泊54~63ドル(5500~6400円)だという。宿泊客のスウェーデン人女性(25)は「ここでは皆が互いの顔を知っている。こじんまりした良いレストランやバーがたくさんある。とても居心地が良く、自然に親しむこともできる」と語った。

 ラブホテル、貧民街宿に続くもう一つの選択肢は、アパートや部屋を借りて、地元の人たちと同じように生活することだ。

 アパート物件の賃貸を管理するファビル・ナオンさんは「リオでは1年で供給が900%増加した。W杯の宿泊客向けに提供可能なアパートは9000件ある」と話す。賃貸の場合、「1人当たりの平均料金は(1泊)112~135ドル(1万1000~1万3700円)で、4つ星ホテルの538ドル(5万4800円)よりもはるかに低く抑えられる」という。ナオンさんはコパカバーナにある自分のフラットを、アルゼンチンからの観光客8人に45日間貸す予定で、2万5000ドル(25万5000円)の家賃収入が得られるという。(c)AFP/Claire DE OLIVEIRA NETO