【5月20日 AFP】主に乳幼児が発症する「川崎病」は、中国北東部から風に乗って日本に運ばれてくる毒素が原因の可能性があるとの研究結果が19日、発表された。

 川崎病の発症例は世界各地で確認されているものの、日本で最も多い。症状には発熱、発疹、爪の剥離が含まれ、患者の25%は、心臓の血管が膨張し死に至ることもある「冠動脈瘤(りゅう)」を発症する。予防法は存在しないが、人から人へは感染せず、発症しても大半は数週間で完治する。

 1967年に発見されて以来、原因は謎とされてきたが、日本では1年のうちの特定の時期に患者が増えることが分かっていた。

 研究を率いた米カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)医学部の川崎病研究センター(Kawasaki Disease Research Center)のジェーン・バーンズ(Jane Burns)所長は、「川崎病の原因となっている地域は世界各地にあることは確かだが、中国北東部と日本、ハワイ(Hawaii)、北米西岸地域との間にある関連性に焦点を当てることは、原因究明に向けて最も有望だと考えている」と語った。

 気流モデルを使って行われた先行研究で、中国北東部の広大な穀倉地帯を起点とした風が吹いている時に川崎病の発症数がピークを迎えることが分かっていた。

 今回の研究では、大容量の空気ろ過装置を搭載した航空機を使い、日本の上空2000~3000メートルの空気を検査したところ、空気中で最も多かった菌類はカンジダであることが分かった。酵母菌の一種であるカンジダは、世界中でみられるさまざまな真菌感染症の最も大きな原因とされている。

 米科学誌「米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)」に掲載されたこの最新の分析結果では、最も有力な川崎病の原因は、中国北東部を起源とし、カンジダと関連する可能性がある「前もって形成された毒素または環境分子」だとされている。

 この仮説では、病原性を持つ何らかの毒素または分子が、穀倉地帯の上空を吹く風によって運ばれ、感受性の高い遺伝子を持つ子どもがこれに触れると異常な免疫反応を引き起こすと推測されている。

 バーンズ氏は、川崎病が確認され始めた1960年代に中国北東部で何らかの変化があったとみて、「風に運ばれるこれらのエアロゾル(浮遊粒子)を生み出す活動または状況を特定する必要がある」と話している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN