【5月19日 AFP】中国当局は、自国民に対してフェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)、ユーチューブ(YouTube)といった人気ソーシャルメディアの利用を禁止する一方で、自分たちの宣伝には熱心に活用している。

 国営新華社(Xinhua)通信や、中国共産党の機関紙である人民日報(People's Daily)、国営中国中央テレビ(CCTV)、そして市や州の各当局の多くは、ツイッターの公式アカウントを持っている。

 湖や運河で知られる東部・浙江(Zhejiang)省の杭州(Hangzhou)市は、国際的地位を高めるためにフェイスブックに目をつけた。

 6億1800万人に上る中国のインターネットユーザーは、2009年からフェイスブックの使用を禁止されているが、オーストラリアの「世界一素晴らしい仕事」にも似た同市主催のコンテスト「現代のマルコポーロ」では、フェイスブック上で少なくとも6つのアプリが使われた。

 20日に発表される勝者には、杭州市をフェイスブックやツイッターで1年間宣伝することと引き替えに、4万ユーロ(約560万円)の賞金と同市への2週間の旅行が与えられる。

 英国に拠点を置くコンサルティング企業で、同コンテストの広報活動を担当するPRエージェンシー・ワン(PR Agency One)のコンサルタント、マイケル・カバナー(Michael Cavanaugh)氏はAFPに対し、当局によるこうしたソーシャルメディアの利用は「避けられない」と述べたが、一方で勝者がどのようにして中国国内からサイトに投稿することになるのかについては説明を避けた。

 中国当局は、共産党による一党支配への脅威に発展することを恐れ、オンラインやオフラインでの表現を厳しく統制している。「万里のファイアウオール(Great Firewall of China)」と呼ばれる中国当局による大規模なネット検閲を迂回(うかい)するため、一部の人々はVPN(仮想プライベートネットワーク)を使い、国営メディアもしばしば国外の事務所を利用している。

 杭州市もまた、フェイスブックが利用可能な香港(Hong Kong)のデジタル機関を使って、同コンテストを開催した。こうした宣伝手法は最近、他の地方都市や省でも多くみられる。