【5月4日 AFP】オーストラリア政府は2日、高齢化問題に対処するため、年金支給開始年齢を2035年までに70歳に引き上げる方針を示した。世界の先進国の中では最高齢となる。

 ジョー・ホッキー(Joe Hockey)財務相によると、前労働党政権は2023年に年金支給開始年齢を65歳から67歳に引き上げる方針を示していたが、トニー・アボット(Tony Abbott)首相率いる現保守連合内閣は、受給開始年齢をさらに引き上げようと考えている。

 オーストラリアには法律で規定された定年はないが、1908年に年金制度が導入されて以来、男性は65歳、女性は60歳で年金受給資格を得る。

 経済協力開発機構(Organisation for Economic Cooperation and DevelopmentOECD)の最近の報告によると、OECD加盟国の中で70歳を公式な定年年齢としている国はないものの、日本や韓国では定年は公式には60歳とされているにもかかわらず、実際には70歳に近い定年年齢が男性に適用されているケースもある。

 ホッキー財務相は、既に年金を受給しているオーストラリア人には影響は及ばないとしながらも、「この予算に基づいて長期計画を立てることが非常に重要だ」として、現行の「受給資格年齢」は終了するという政府の見解を強調した。

 オーストラリア政府は、数年前から高齢化問題に取り組んでいる。前政権は2009年に、「人口統計上の時限爆弾」を爆発させないためとして、国民年金の受給開始年齢を段階的に引き上げる方針を示した。

 豪州アクチュアリー会(Actuaries Institute of Australia)は、同国の65歳以上の高齢者の数は、今後30年間で約350万人から約700万人へと2倍に増加し、全人口の約22%を占めるようになると予測している。

 また85歳以上の高齢者の数も、50万人弱から140万人へとおよそ3倍に増加し、医療保険制度を圧迫することが予想される。

 オーストラリア統計局(Australian Bureau of Statistics)の発表によると、オーストラリアの現在の人口は約2340万人で、平均寿命は男性が79歳、女性が84歳となっている。(c)AFP