【5月2日 AFP】米国の農場では、遺伝子組み換えや作付け技術の向上のおかげで、トウモロコシの栽培量を従来よりもさらに増やすことが可能になっているが、同時にトウモロコシの干ばつに対する耐性がますます低くなっているとの研究論文が、1日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 米スタンフォード大学(Stanford University)のデービッド・ロベル(David Lobell)氏率いる研究チームが発表した論文は、「高密度に作付けされたトウモロコシは、予想外に水不足の影響を受けやすくなっているように思われる」ため、地球温暖化が進むにつれて将来の食糧供給に関する懸念が高まることを明らかにした。

 米国は世界最大のトウモロコシ輸出国で、全世界の出荷高の約4割を占めている。

 近年、商業的に生産されているトウモロコシの大半は、根が水を取り込む能力を向上させ、病害虫への抵抗性を強化する新しい特性を持つように改良されている。これにより農場では、トウモロコシの作付け数を以前より増やし、従来よりも接近させて植え付けることが可能になったため、結果的に収穫高が増加している。

 だがトウモロコシはこの20年間で、渇水の影響をさらに受けやすくなっている。この問題が懸念される理由は、米国で栽培されているトウモロコシの大半が、かんがい用水ではなく、自然降雨に依存していることにある。

 コーンベルト(Corn Belt)として知られる米中西部の今後の気象予測が正しければ、トウモロコシの収穫高は今後50年間で15~30%減少する恐れがあると、研究チームは指摘している。

 今回の研究は、全米科学財団(National Science FoundationNSF)と米海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric AdministrationNOAA)より資金供与を受けて行われた。