【5月1日 AFP】オーストラリア当局が世界最大のサンゴ礁を誇るグレートバリアリーフ海洋公園(Great Barrier Reef Marine Park)に港湾工事で発生する土砂の投棄を許可した問題で、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)は1日、初めて見解を発表し、当局の判断を非難するとともに、同海洋公園の「危機遺産リスト(World Heritage in Danger)」登録検討を推奨した。

 この問題は、豪政府がインドのアダニ(Adani)グループによる石炭積み出し港の拡張工事を許可したことを受けて、公園管理当局が1月、グレートバリアリーフ海洋公園の海域に最大300万立方メートルのしゅんせつ土砂の投棄を認める決定を下したもの。

 環境保護団体は、投棄された土砂によりサンゴや海藻が窒息するほか、土砂から毒性物質や過剰な有機物が排出されると指摘。既に健康状態が悪化しているグレートバリアリーフの消滅を早めると警告していた。

 ユネスコは、管理当局の決定について「(環境への)影響がより少ない代替案が存在する可能性が示唆されているにもかかわらず承認された」と述べ、「懸念と憂慮」を表明。豪政府に対し、土砂投棄が最も環境を破壊しない選択肢でありサンゴ礁の価値を損なわないと証明する新たな報告書を世界遺産委員会(World Heritage Committee)に提出するよう要請した。

 その上でユネスコは、もし「主要な問題点に著しい進展が見られなかった場合」は、2015年の「危機遺産リスト」にグレートバリアリーフ海洋公園を加えることを検討するよう世界遺産委員会に推奨した。(c)AFP