■ジェラードの悪夢の瞬間

 それでもチェルシーは良い形で前半を終え、カラスがCKからヘディングシュートでゴールを狙った後の前半ロスタイム、ジェラードにとっての悪夢の瞬間からゴールを陥れた。

 その場面でジェラードは、ママドゥ・サコ(Mamadou Sakho)からのパスをコントロールし損ねると、流れたボールを追いかけようとして足を滑らせてしまった。するとアンフィールドが息をのむなか、バがボールを奪取してゴール前へ駆け上がり、GKシモン・ミニョレ(Simon Mignolet)の守るゴールへ冷静にシュートを流し込んだ。

 リバプールもハーフタイム明けからはチェルシーのゴールに襲いかかったが、ジェラードのシュートがGKマーク・シュワルツァー(Mark Schwarzer)に難なく防がれたシーン以外には、序盤に好機を作り出すことができなかった。

 この状況を見て、ロジャーズ監督が復帰したダニエル・スターリッジ(Daniel Sturridge)を送り出すと、直後にジョー・アレン(Joe Allen)がボレーシュートを狙ったが、シュワルツァーが左へ跳んでボールをはじき出した。

 チェルシーもカウンターから相手ゴールを脅かしたが、アンドレ・シュールレ(Andre Schurrle)のシュートはミニョレが左手一本でセーブし、追加点は許さなかった。

 リバプールはアレンとジェラードがそれぞれ遠目からシュートを狙うがシュワルツァーの牙城を崩せず、さらにルイス・スアレス(Luis Suarez)の浮き球のクロスから主将がヘディングシュートを狙ったが、ボールはシュワルツァーの手の中に納まった。

 リバプールは後半ロスタイムにも最後の反撃を試み、シュワルツァーがパンチングしたボールを拾ってスアレスがシュートを打ったが、またしてもシュワルツァーの手にはじき出された。

 するとチェルシーは試合終了間際、独走で抜け出したフェルナンド・トーレス(Fernando Torres)が私欲を捨て同じく交代出場のウィリアンにパスを送ると、ウィリアンが無人のゴールにボールを流し込み、タッチライン際のモウリーニョ監督は胸をたたいて歓喜した。(c)AFP/Tom WILLIAMS