【4月24日 AFP】イスラエルとの和平交渉が続くパレスチナ自治区で、ヨルダン川西岸(West Bank)とガザ地区(Gaza Strip)を約7年間にわたって分断統治してきたパレスチナ解放機構(PLO)とイスラム組織ハマス(Hamas)が23日、暫定統一政府を発足させることで合意した。この合意についてイスラエルは猛反発しており、両者間の交渉を仲介する米国も、和平実現に向けた努力を大きく妨げる可能性があると警告している。

 パレスチナを代表する唯一の機関として国際的に認められているPLOと、ガザ地区を実効支配するハマスは、「国民的合意に基づく」暫定統一政府を設置することで合意した。

 ハマス政権のイスマイル・ハニヤ(Ismail Haniya)首相はPLOの交渉担当者らが同席する中で、「パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長を指導者とする独立した政府を5週間以内に設置する」との共同声明を発表。暫定政権は半年以内に議長と評議会(議会)の選挙を実施する方針だという。

 合意の発表を受け、ガザ地区では多くの人々がパレスチナ自治政府の旗を掲げて通りに繰り出し、歓喜に沸いた。

■和平交渉に影響か

 ハマスとPLOがガザ地区とヨルダン川西岸の分断統治解消を目指す合意に至るのは、今回が初めてではない。しかし、和平交渉が停滞する中で交わされた今回の合意について、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は「アッバス議長は和平ではなく、ハマスを選んだ」として怒りをあらわにしている。

 イスラエルのネタニヤフ首相の側近は、この合意を理由として、23日に予定されていたパレスチナとの和平協議を中止したと述べたが、パレスチナ側の交渉責任者、サエブ・アリカット(Saeb Erakat)氏はAFPに対し、同日にはそもそも協議の予定はなかったと述べている。パレスチナ側の交渉団は24日、ヨルダン側西岸のラマラ(Ramallah)で、米国のマーティン・インディク(Martin Indyk)中東和平特使と2者間協議を行う予定だという。(c)AFP/Adel ZAANOUN