ベルギー・ブリュッセル(Brussels)に本部を置くシンクタンク「国際危機グループ(International Crisis GroupICG)」は、昨年12月15日に紛争が勃発したときは、マシャール氏とサルバ・キール(Salva Kiir)大統領による政治的な対立が主な要因だったと指摘する。しかし以来、戦闘はエスカレートし、石油資源が豊富ながらも貧困にさいなまれる同国の各州にまで広まっている。

 ICGによると、「民族を標的とした攻撃や、共同体の動員、連鎖する暴力が、市民に対する残虐行為へと発展した」という。

 残虐行為は、北部の石油が豊かな町ベンティウ(Bentiu)でも横行。政府軍は今月16日、町が反乱軍に掌握されたことを認めた。国連は、特定の民族を標的にした虐殺によって、ベンティウで数百人が殺害されたと発表した。

 紛争の根底にあるのは、内戦後に政治的指導者になった元ゲリラ兵の間で数十年にわたりくすぶる不満と、長い内戦で南スーダンに残された傷跡だ。

 現在の紛争は、キール大統領に忠誠を誓う兵士たちと、マシャール氏側に寝返った兵士たちの戦いだが、同時にキール氏が所属するディンカ(Dinka)人とマシャール氏のヌエル(Nuer)人の間での民族紛争の様相も呈している。