■「香川は試合を変えられる」

 4年前のW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)でベスト16入りを果たした日本だが、トルシエ氏が指揮を執っていた時代は、奇手を放つに頼らざるを得ないこともしばしばだった。

 2000年にレバノンで開催された第12回アジアカップ(2000 AFC Asian Cup)では、選手が部屋にこもりテレビゲームに熱中する状況を打破しようと、政情不安の広がる薄暗がりの首都ベイルート(Beirut)で外食を命じたのは有名な話だ。

 当時の日本代表を「若いチームだった」と振り返るトルシエ氏は、「強豪チームと対戦するための方法を教えることが不可欠だったんだ。今では、A代表の90パーセントが欧州でプレーしている。(日本代表監督のアルベルト・)ザッケローニ(Alberto Zaccheroni)は、W杯で何を予期すれば良いのか教える必要がない」と語った。

 トルシエ氏は、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)に所属する香川真司(Shinji Kagawa)の存在が、日本の進歩を確信させたという。

「彼は、どんなときでも試合を変えることができる。私が日本にいた時代は、日本のサッカーは女の子みたいだと言われていた。日本に敬意を表すこともなかった。今では、日本人選手が尊敬されている。世界中で知られているんだ」

(c)AFP