■厚さはわずか原子1個分

 論文の共同執筆者で、アイルランド・ダブリン大学トリニティカレッジ(Trinity College Dublin)のジョナサン・コールマン(Jonathan Coleman)教授(化学物理学)は、AFPの取材に「われわれは、グラフェンシートを作製する新しい方法を開発した。この方法により、欠陥をまったく含まないグラフェンを大量に生産できる」と述べた。

 研究チームは、「せん断ミキサー」と呼ばれる工業用装置を使用したが、この実験では、調理用ミキサーで同様の結果を再現することに成功している。

 この方法で作られる液体は、グラフェンシートの被膜としてペンキのように表面に塗ったり、プラスチックと混合して強化複合材料を作り出したりすることができる。

 コールマン教授は「実験室で生成したのは数グラムだが、規模を拡大すれば数トン規模で生産できる」と説明した。

 世界最薄の物質のグラフェンは、透明だが鋼鉄より強い。炭素原子でできた極めて伝導性の高い材料で、厚さはわずか原子1個分しかない。

 次世代コンピューター、タッチスクリーン、バッテリーや太陽電池などに使われる半導体に取って代わるものとして注目が高まっている。(c)AFP