【4月15日 AFP】国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganizationFAO)は14日、年間50億ドル(約5000億円)規模とされる世界のバナナ生産が、アジアからアフリカ・中東へと拡大している病気によって「甚大な被害」を受ける恐れがあると警告した。

 FAOによると、既に東南アジアで数万ヘクタールに被害を及ぼしている「パナマ病TR4」が、ヨルダンとモザンビークでも確認された。この病気は、世界で最も発展が遅れている国々にとって4番目に重要な食用作物であり、貧しい農家にとって主要な収入源となっているバナナの「生産と輸出に深刻な脅威を与える」ものだという。

 パナマ病TR4は、世界のバナナ生産で最も一般的で生産量の47%を占めるキャベンディッシュ(Cavendish)種に特に大きな被害を与える。対応策としてはこの病気に冒されたバナナを切り倒してバナナの株と株の間に溝を掘り、厳密に隔離して病気の拡大を防ぐしかない。

 バナナの最大の生産地域である中南米は今のところこの病気の影響は受けていないが、FAOは同地域にも「潜在的な」拡大リスクがあると述べている。

 FAOはまた、問題の規模とキャベンディッシュ種への過度な依存状態を認識することに対する「抵抗感」が業界関係者の間であることが問題だと指摘。「キャベンディッシュ種をパナマ病に耐性のある種に早急に代替するべきだが、これには数年かかる」としている。(c)AFP/Dario THUBURN