【8月6日 Relaxnews】オーストリアの工業デザイナーが、「卓上昆虫養殖器」を開発した。昆虫の幼虫を育て、家族のために自宅でタンパク源を調達できる「Farm 432」だ。

 カタリーナ・ウンゲル(Katharina Unger)氏が開発した「Farm 432」は、国連(UN)の「昆虫を食べよう」との呼びかけを実現するものとして、メディアの高い注目を集めている。ウンゲル氏はこの家電がいずれ、フードプロセッサーやブレンダーのように、便利な家電として各世帯の台所にごく一般的に置かれるようになることを期待している。

 養殖器を使うと、1グラムのアメリカミズアブの卵が432時間後には、およそ2.4キロのタンパク源となる。養殖器の下部に備え付けられた容器に落ちてくる「有機飼育で自家育成」の幼虫は、すぐにも食べることが可能だ。リゾットなどの上に載せるカリカリとしたトッピングや、炒め物に使う肉の代用として使えるほか、スナックとして食べることもできる。さらに、1週間あれば2食分に十分な幼虫(500グラム)を養殖し、収穫することができる。

 昆虫はタンパク質が豊富なばかりでなく、低カロリーでもある。例えば、100グラムの昆虫は96キロカロリー。栄養素の72%はタンパク質で、16%が脂肪だ。一方で同量の牛肉は285キロカロリーで、栄養素の48%が脂肪となっている。

 ■深刻なタンパク源不足、「昆虫食」が打開策に?

 国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganisationFAO)は何年も前から、現在の世界の肉の消費率を考慮すれば、甲虫類やイモムシ、カリバチなどの昆虫を肉類に替わるタンパク源として活用する必要があると提唱してきた。また、中国の中流層の急拡大や世界人口の増加などが、肉の消費率を維持不可能な割合にまで高めていると指摘し、世界のタンパク質需要を満たすためには、肉の生産量を2050年までに50%増加させなければならないと予測している。

 メキシコやアフリカ、中国、東南アジアでは、昆虫を主食とする地域もある。しかし専門家らも、昆虫を気味悪がる西側諸国の人々にこれらを食べるよう説得するのは困難だと認めている。

 もちろん、世界で最も人気のあるレストランなどで提供されるようになれば話は別かもしれない。世界最高のレストランに3度選ばれたことがあるデンマーク・コペンハーゲン(Copenhagen)のレストラン、「ノマ(Noma)」のシェフ、レネ・レゼッピ(René Redzepi)氏は、自身の研究開発センターで昆虫の調理方法を模索中だ。

 また、ブラジルのレストラン「D.O.M.」を経営する有名シェフ、アレックス・アタラ(Alex Atala)氏は、レモングラス風味のアマゾンアリの料理を考案している。(c)Relaxnews/AFPBB News