【4月9日 AFP】米国の子どもたちの肥満率が低下したという最近の研究結果は誤りで、子どもたちは今も肥満と闘っており、若者の間での肥満のまん延は減少していないとする研究が7日、米国医師会(AMA)が発行する医学誌「JAMA小児科学(JAMA Pediatrics)」で発表された。中でも最も重度な肥満の子どもたちの状況はより深刻で、体重の増加傾向はここ十数年で倍増したという。

 小児肥満は、その後の生涯にわたって、高コレステロールや心臓病、2型糖尿病といった健康問題に悩まされることにつながるため、とりわけ問題視されている。

 この論文の共著者の1人で、ウェイク・フォレスト大学バプティスト・メディカルセンター(Wake Forest University Baptist Medical Center)の小児科医ジョセフ・スケルトン(Joseph Skelton)氏はAFPの取材に対し、「過体重もしくは肥満の子どもたちの総数に変化はみられない」とし、それどころか「一部の子どもたちの体重は増加傾向にあるようだ」と述べている。

 今回の研究は、今年2月下旬に米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)が発表した、未就学児童の肥満率が過去10年で43%も減少したという内容の論文と同じデータを使用しているが、CDCの論文が理由は不明ながら異常なほど肥満率が上昇した2003年を起点としたデータを使用したのに対し、今回は1999年以降のデータを利用した上で、調査対象の年齢層も拡大した。

■重度の肥満は増加傾向

 新しい研究では、1999年~2012年に実施された米全国健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination SurveyNHANES)の対象となった、2~19歳の計2万6690人のデータを分析した。

 2011~12年では、調査対象者の17%余りが肥満、つまり、体格指数(BMI)が同じ年齢・性別の子どもの95パーセンタイル以上だった。これは、14.5%が肥満だった1999~2000年よりも若干高いが、この差はプラスマイナス1%とされる誤差による可能性もある。

 一方、重度の肥満児ではこの傾向はより深刻で、1999年から2012年の間に約2倍になったことが分かったという。重度の肥満は、BMIが同じ年齢・性別の95パーセンタイルよりも20~40%高い状態と定義された。

 たとえば、10歳の男の子が体重43キロ、身長1メートル37センチだった場合は肥満とみなされ、もし体重が4.5キロ増えた場合は「クラス2」の肥満度となり、11キロ増加すると「クラス3」となる。

 研究では、調査対象者の6%近くがクラス2に、約2%がクラス3と判定された。(c)AFP/Kerry SHERIDAN