■ソフトパワーが隣国との緊張を和らげる

 このイベントは、日韓関係が冷え切っているなかで開催された。両国は現在、歴史認識、特に慰安婦問題をめぐる論争で泥沼にはまっている。

 その微妙な空気を反映するかのように、韓国の国営放送KBSは先週、クレヨンポップの新曲の歌詞に日本語が含まれているとの理由で、同曲の放送禁止の決めた。

 安倍晋三(Shinzo Abe)首相は3月末に、韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領と初会談を行った。オランダ・ハーグ(Hague)の米大使公邸で行われた会談は、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の仲介の下、日米韓首脳会談というかたちとなった。オバア政権は同盟国である日本と韓国との関係悪化にいら立ちを募らせている。

 会談では韓国語を話しながら握手を求めた安倍首相だったが、朴大統領は硬い表情を崩さなかった。二国間の首脳会談はまだ遠い先の話になりそうだ。

 しかしK-Popコンサートの主催者は、韓国の音楽やポップカルチャーによる、いわゆるソフトパワーが隣国との緊張を和らげる可能性があると語る。

「文化を取り扱う私たちには、政府がしない、できない小さな何かができると信じている」と、Mカウントダウンの放送局Mnetを傘下に置くCJ E&Mのエグゼクティブ・プロデューサー、Shin Hyung-Kwan氏は言う。「そういう意味では、政治的な緊張があっても、文化交流で二国間の距離を縮められると考えている」

 ガールズデイの男性ファンも同じ意見だ。「前に進むには、このようなイベントで力を合わせることだ。過去を深く掘り下げ続けると、必ず衝突で終わってしまう」

 韓流文化の世界的な人気を受けて、アイドルたちの国際的な境界線はほぼなくなっているという。

「韓国のアイドルは多国籍になってきている。業界が国内だけでなく外国市場もターゲットにしているからだ」と2PMのメンバーであるオク・テギョン(Ok Taecyeon)さんは述べ、「アジアだけでなく世界で有名になることで、大使のような役割を果たしている」と続けた。

(c)AFP/Harumi OZAWA