【3月31日 AFP】「販売物件:スペインの集落。要・再建。価格:0ユーロ」──スペインに数千か所ある廃村の一つ、アバルカ(A Barca)では、コケとつたに覆われた石造りの家12軒ともども村全体を甦らせてくれる新しいオーナーを募集している。

 スペイン北西部の緑豊かなガリシア(Galicia)自治州、ポルトガルとの国境に近いミノ(Mino)川を望む丘の中腹にたたずむこの集落を、地元自治体は譲渡することを望んでいる。ただし譲渡先に決まった希望者は、15世紀にさかのぼるこの村のすべての建物を保存したまま、集落全体を再建する計画を示さなければならない。

 すでに数件の提案が寄せられているが、アバルカを管轄する自治体、コルテガーダ(Cortegada)のアベリノ・ルイス・デ・フランシスコ・マルティネス(Avelino Luis de Francisco Martinez)町長は、観光プロジェクトであればより好ましいと話す。

 1960年代にダムが建設され、農地が洪水に見舞われたときに、アバルカの住民はこの集落を去った。ただし、スペインの廃村の大半は、住民が都市やより良い農地のある場所へ移動したために荒廃したものだ。

■スペイン全土の廃村は約2900

 スペイン統計局(Instituto Nacional de EstadisticaINS)の推計によれば、全国の廃村は約2900に上り、うち半数以上が、巡礼地として有名なサンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)があるガリシア自治州と隣のアストゥリアス(Asturias)自治州に集中している。

 廃れた集落の売買を専門に扱うウェブサイト「aldeasabandonadas.com.」のラファエル・カナレス(Rafael Canales)氏は、作家や美術家、観光業のプロなどを顧客とみなしているという。