【3月28日 AFP】国連総会(UN General Assembly)は27日、ウクライナからの分離をめぐるクリミア(Crimea)半島の住民投票を無効とし、同半島のロシアへの編入を認めないよう各国に求める決議案を採択した。決議に拘束力はない。

 国連加盟193か国中、賛成が100か国、反対が11か国、棄権が58か国だった。北大西洋条約機構(NATO)加盟国など欧米諸国は賛成に回ったが、中国、インド、アフガニスタン、パキスタンに加え、南米の多くの国は棄権した。

 決議案は16日に行われたクリミア半島の住民投票に正当性がないことを再確認し、クリミア半島の帰属の変更を認めないよう加盟国に求めている。またすべての国に対し、脅迫や武力行使、その他の違法手段を用いてウクライナ国境の変更を試みないよう求め、対話による危機解決を要請している。

 決議の草案を作成したウクライナ暫定政権のアンドリー・デシツァ(Andriy Deshchytsya)外相は「クリミアで起きていることが、われわれのルールに対するさらなる挑戦の先例となることを国際社会は許さないという根本的なメッセージを送るものだ」と述べ、採択を歓迎した。

 一方、ロシアのビタリー・チュルキン(Vitaly Churkin)国連大使は、国連加盟国の「ほぼ半数」が決議案を支持しなかったとして「道徳的には勝利した」と述べ、「クリミアとロシアが取った行動の背景にある状況の複雑さを理解し始めた国が増えている」と語った。

 ウクライナは可能な限り多くの国から賛成を取り付けることを意識して穏便な文言の草案を作成し、ロシアを直接名指しすることは避けた。

 19日には国連安保理(UN Security Council)でも米国が同様の決議案を提出したが、ロシアが拒否権を発動し、中国が棄権していた。(c)AFP/Jennie MATTHEW