【3月28日 AFP】ウクライナ南部クリミア(Crimea)半島のロシア編入阻止には、政治的・経済的制裁は功を奏さなかったが、「ロシア人男性とはセックスお断り」という措置ならどうだろうか?

 ウクライナ人女性のグループが企画した「Don't give it to a Russian(ロシア人にはやらせるな)」という運動で、クリミア半島を自国に取り込もうとするロシアの野心に冷や水を浴びせ、ロシアのクリミアにおける動きに注意を引き付けることを目指している。

 この運動は、ロシアが黒海に面したクリミア半島の編入を正式に宣言した後に、交流サイトのフェイスブック(Facebook)で立ち上げられた。ロシアの動きは国際社会からの怒りを招き、旧ソ連構成国のロシア語圏にさらに介入していくのではないかという不安をあおっている。発起人らは、愛国心のある他のウクライナ人女性らに対し、「敵との戦いには自身にできるあらゆる方法を使う必要がある」と呼び掛けた。

 しかしこの運動には、文化を超えた交際を止める以上の狙いが込められている。ウクライナの作家で自身のブログを持ち、ミュージシャンでもあるイレーナ・カルパ(Irena Karpa)さんは、「注目を集めるからわざと挑発的な文句を使った」と自認している。

 そしてAFPの取材に対し、「より深い真の意味は、自分の尊厳、自由、母国を譲り渡してはいけないということ。(ロシア大統領のウラジーミル・)プーチン(Vladimir Putin)とその政策を問題にしているのであって、(ロシア人)差別ではない」と語り、さらに、2月に親露のビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)前ウクライナ大統領を退任に追い込んだ反政権デモにも、民族的にはロシア人となる人々も参加していたことは認識していると付け加えた。

 カルパさんによると、この運動を始めたのは、事業家やジャーナリスト、作家といった「社会的地位の高い」女性らのグループだとしている。

 男性が戦争への道を進もうとするのを食い止めようと、「セックスストライキ」の手段に打って出るのはこの女性グループが初めてではない。過去にはリベリアやケニア、トーゴ、コロンビアなどの国々で提唱された。古くは、古代ギリシャのアリストパネス(Aristophanes)による戯曲「女の平和(Lysistrata)」で、女性たちは、ペロポネソス戦争(Peloponnesian War)が終わるまで男性との性交を拒否するといった内容が描かれている。(c)AFP/Fran BLANDY