クリミア問題で対立の米露、宇宙空間で保つ協力関係とその理由
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■相互的な依存関係
米国は現在、ISSまで飛行士を送るためにロシアのソユーズ(Soyuz)宇宙船が必要であり、NASAの広報によると、1席につき平均で7070万ドル(約72億円)を支払っているという。
米国はロシアの宇宙船頼みであるために、宇宙開発におけるロシアとの協力関係は必須だ。
しかし今後は、クリミアをめぐる米国の対ロシア制裁に、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領がどう対応してくるかにかかっていると、NASA諮問委員会(NASA Advisory Council)のジョン・ログスドン(John Logsdon)委員は指摘する。
「すべてはロシア次第だ」と語るログスドン氏は、ロシア政府が協力関係を解消してくる可能性を20~25%ほどとみており、「(もしそうなれば)大変なことになるだろう。相互的な依存関係があるからこそ、より大きな目標からクリミア問題を切り離して考えることができているのだ」と述べた。
元宇宙飛行士のチアオ氏は、両国の対立がエスカレートすれば、クリミア問題よりもさらに深刻な亀裂が宇宙空間で生じることになると話す。「可能性は限りなく低いが、もしロシアとの間で戦闘が起きた場合、ISSのオペレーションに支障をきたすのは間違いない」
26日早朝、両国の宇宙飛行士を乗せたソユーズは、ISSへと向けカザフスタンのバイコヌール宇宙基地(Baikonur Cosmodrome)から打ち上げられた。彼らは狭い空間でしばらく共に過ごし、28日のISS到着を待つ。(c)AFP/Kerry SHERIDAN