【3月18日 AFP】欧州連合(EU)と米国は17日、前日にウクライナ南部クリミア(Crimea)半島でロシア編入の是非を問う住民投票が強行されたことを受け、ロシアとクリミア自治共和国の高官を対象に制裁を発動すると発表した。冷戦終結以降最悪の東西対立をいっそう強める動きだ。

 ウクライナと欧米はこの住民投票を違法とみなしており、EUと米国は迅速に厳しい対応に踏み切った。

 EU加盟国の外相らは、ロシア当局者13人とクリミア自治共和国の当局者8人に渡航禁止と資産凍結の制裁を発動すると発表した。EUは制裁対象者の氏名は明らかにしていないが、いずれも「ウクライナの主権を侵害した」としている。リトアニアのリナス・リンケビチュス(Linas Linkevicius)外相はマイクロブログのツイッター(Twitter)で、「数日中にさらなるEUの制裁が出される」見込みだと明らかにした。

 EUによる制裁発表の数分後、米ホワイトハウス(White House)も、ロシアによる介入への報復措置としてロシアとウクライナの高官などに経済制裁を科すと発表した。

 米政府による制裁の対象は、ウクライナで大統領退任に追い込まれた親露のビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)氏、クリミア自治共和国のセルゲイ・アクショノフ(Sergiy Aksyonov)首相、ワレンチナ・マトビエンコ(Valentina Matviyenko)ロシア上院議長、ロシアの軍と産業部門を監督する立場にあるドミトリー・ロゴジン(Dmitry Rogozin)副首相など。米国の管轄下にある資産が凍結される他、米国人との取引は禁止され、ドル建ての金融取引も困難になる。

 これについてバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、「われわれは基本原則にのっとってきた」とした上で、「ウクライナの未来を決めるのはウクライナ国民でなければならない。つ まり、ウクライナの主権と領土の一体性が尊重され、国際法が順守されなければならない」と述べた。

 ある米当局者は匿名を条件に「これらは明らかに(ウラジーミル・)プーチン(Vladimir Putin)露大統領に極めて近い人々」だと語った。また別の当局者は、今回の制裁措置が「冷戦終結後の対ロシア制裁としては間違いなく最も包括的」という見方を示した。(c)AFP/Dario THUBURN and Dmitry ZAKS in Kiev