だが毎年1万8000人に上るマーファへの訪問客全員が芸術に興味を持っているわけではない。「訪問客の一部は『チアンティ財団』と発音するよ」とアーティストのアーバーさんは笑う。

 家畜商のリッキー・ブラック(Ricky Black)さんは「チナティ財団のイベント初日には何度も駆け付けたよ。だって無料でビールが振る舞われるからね」と素直に認める。

 それでも、ブラックさんは街のアーティストたちを歓迎している。「彼らはいい人たちだよ。とても礼儀正しいし」

 ここ数年、マーファは高級化し、ジムやヨガスタジオ、高級レストラン、コンセプトショップやデザイナーズホテルを見かけるようになった。

 ジャッド氏の娘ライナー(Rainer Judd)さんは、ジャッド氏が生きていればマーファの発展ぶりが気に入っていただろうと言う。「以前と変わらない数のピックアップトラックが今も町を走り、銀行や郵便局でも同じスタッフが勤めている。父はボールルーム・マーファやラナン基金、本屋を援助していたと思います。外食できる場所があるのは良いことだと思うでしょうし、父も自分自身でカフェ・ラテを注文しさえするかもしれません」(c)AFP/Veronique Dupont