【3月14日 AFP】フランスの首都パリ(Paris)市当局は13日、市内の公共交通機関を3日間無料にすると発表した。異常に暖かい気候と風が吹いていないことが原因で大気汚染が深刻化していることから、自家用車の使用自粛を促すことが狙いだという。

 ここ数日、パリをはじめ国内の多くの地域では、大気汚染警報が最も警告度の強いレベルで発令される状況が続いていた。

 パリおよび近隣地域の交通機関を監督する組織のジャン・ポール・ユション(Jean-Paul Huchon)代表は、大気汚染により「住民の健康に重大なリスク」がもたらされるため、14日朝から16日夜まで公共の交通機関を無料にすると述べた。

 大気汚染が深刻化した一因には、夜間の冷え込みと日中の暖かさ、そして風が吹いていなかったことがある。監視当局は、直径10ミクロン未満のいわゆる「PM10」粒子の大気中濃度が特に高くなっていることを報告している。

 フランスでは、これらの微小粒子の濃度が1立方メートル当たり80マイクログラムに達すると大気汚染警報が発令される。

 PM10粒子が重要な監視対象になっている理由は、粒子が小さく軽いほど、大気中にとどまる時間が長くなり、数週間にわたり大気中に漂い続けることもあり得るためだ。

 また直径2.5ミクロン未満の粒子は、肺や血液系の奥深くに浸透する恐れがあるため、健康に対する危険性が最も大きい。これらはぜんそくやアレルギー、呼吸器疾患などの原因になる場合もある。

 このように大気汚染が深刻化している事態を受けて、仏・緑の党(Green Party)に所属する議員らは、ナンバープレート末尾の奇数・偶数で1日おきに車両の使用を規制するよう当局に要請している。同党は、貨物自動車のパリ市内の通行禁止も同様に訴えている。

 13日深夜のパリ中部全体の大気質指標(AQI)は、世界で最も大気汚染が深刻化している都市の1つである中国・北京(Beijing)とほぼ同じだったという。(c)AFP