【3月6日 AFP】中国の李克強(Li Keqiang)首相は5日、同国人口13億6000万人にとって主要な関心事となっている大気汚染問題に対し「宣戦布告」した──。

■首相は何を約束したのか

 中国は産業の構造を改善し、エネルギー効率を向上させる。また車両の排出ガスを削減し、風で運ばれるちりの予防と監視に努める。

 政府は小規模の石炭火力発電所5万施設を閉鎖。石炭を使う発電所をなくし、高排出車両600万台を路上からなくす。また総エネルギー消費量に上限を設ける予定で、非化石燃料による発電の割合を増加させる。石炭使用量の削減については具体的な約束はしなかった。

■対策は成果を出せるのか

 中国の大気汚染対策の多くは、重工業の中小企業の閉鎖・規制と、大型の製鋼所の管理強化に依存している。中央政府は誠実な姿勢に見えるものの、地方当局に規制強化を行わせようとすれば厳しい課題に直面するだろう。

 国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)の北京(Beijing)事務所のリ・ヤン(Li Yan)氏はAFPの取材に「大気汚染対策での目標の達成は、工場の閉鎖と失業につながる。これは地方当局が今もなお及び腰な選択肢だ」と説明している。

■中国の過去の実績

北京五輪で世界の注目が集まった2008年、北京市当局は2か月以上にわたって自動車の使用を制限した。建設工事も中断され、工場が閉鎖された。結果、有害物質の排出は60%減少した。

 また、大気汚染が一時的に深刻化した際、北京などの大都市では公用車の使用停止や工場の閉鎖など、短期的な緊急対策が講じられている。

 2012年以降の北京市当局による大気汚染データ公表は、大気汚染を重要な政治課題にする上で大きな役割を果たした。だが長期戦略──これには2級都市や地方都市における深刻な大気汚染への対策も含まれる──は、まだ実施されていない。

 中国政府は2012年、2015年までに高汚染企業1200社を一掃し、また車両排ガス問題にも取り組むことを約束している。(c)AFP