■ポスト第2次世界大戦の地図再編

 しかし、こうした見方は欧米諸国の公式見解にはない。

 トニー・ブリンケン(Tony Blinken)米国家安全保障担当補佐官は「クリミア併合があっても、クリミアをウクライナからロシアへ移す住民投票があっても、われわれは認めない」と米CNNテレビで明言した。

 ロシアに対する制裁措置に関して、欧米側指導者で最も慎重なドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、プーチン大統領に対し、クリミア半島で16日に実施されるロシア編入の是非をめぐる住民投票は「違法だ」と言い放った。

 第2次世界大戦でソ連に占領された過去を持つバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)は、特に不安をぬぐいきれない様子だ。

 リトアニアのダリア・グリバウスカイテ(Dalia Grybauskaite)大統領は、ベルギー・ブリュッセル(Brussels)で開かれた緊急サミットに出席した欧州連合(EU)諸国の首脳らに対し、「ロシアが今やっていることは、大戦後の地図と国境の書き換えの試みだということに気付くべき」と訴えた。

 米シンクタンク、ブルッキングス研究所(Brookings Institution)のスティーブン・パイファー(Steven Pifer)氏は、クリミアのロシア編入に対し、断固として国際社会が糾弾する以外は、ウクライナや他の旧ソ連邦構成国に介入しようとするプーチン氏の渇望を満たすに過ぎないと警告する。

 元ウクライナ駐在米国大使の同氏は「欧米が、プーチン氏がウクライナの他の場所には手を出さないだろうと期待し、ロシアのクリミア併合を『許容』するのは、過ちだろう」と語った。(c)AFP/Dmitry ZAKS