欧州連合(EU)は割れている。ロシアに大きな経済的利益があるドイツやオランダ、イタリアといった国々は、強硬な制裁に反対しているといわれる。他方、リトアニアなど旧ソ連邦の国々は、より厳しい制裁を望んでいる。

 欧州は天然ガスの3分の1をロシアから輸入している。露政府はエネルギー輸出で得られる強い通貨を必要としており、こうした明らかな自己利益があるため最悪のシナリオは阻止できるかもしれない。

 しかし露国営天然ガス企業ガスプロム(Gazprom)は7日、支払いが滞っているガス料金をウクライナが支払わない場合、ガスの供給を停止する可能性があると警告した。

 2009年のロシア・ウクライナガス紛争のときにも、ロシアからのガス供給が欧州の大半で止まった。露経済紙ベドモスチ(Vedomosti)は「ガスを餌にするロシアのやり方は効いている」と報じている。

 米金融大手シティグループ(Citigroup)のアナリストたちは「ロシアを厳しく非難しているにもかかわらず、欧米にはロシアと軍事衝突するつもりも、中身のある経済制裁に出る気もない」という。

 ベドモスチ紙は、今回の危機により欧州は他のガス供給源をこれまで以上に探すようになるだろうと述べている。特に液化天然ガスの輸出を初めて考えている米国が有力な候補だ。「中期的には、欧州にとってロシアのガスへの依存を減らすことが求められている。だが今のところ、ガスプロムに代わるものはない」と同紙は伝えた。(c)AFP/Stuart WILLIAMS