オゾン層破壊気体、大気中で新たに4種発見 国際研究
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【3月10日 AFP】オゾン層を破壊する気体が大気中で新たに4種発見されたとの研究論文が、9日の英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に掲載された。これらの危険な化合物は、その使用が禁止されていたにもかかわらず、過去50年以上にわたり、人間によって放出された可能性が高いという。
論文を発表した欧州とオーストラリアの国際研究チームによると、地球を守る成層圏のオゾン層に損傷を与える物質が新たに発見されたのは1990年代以来初めてで、他にもまだ存在する恐れもあるという。
研究チームは「1960年代以前は大気中に全く存在しなかった気体4種類の存在を明らかにした。このことは、これらの気体が人為的に作られたものであることを示唆している」と論文に記している。
研究チームは、オーストラリア南部のタスマニア(Tasmania)島で1978年~2012年に採集された汚染されていない空気のサンプルと、グリーンランド(Greenland)の深い圧雪の中から採集された空気サンプルを分析した。
声明で研究チームは「これらの新たに発見された気体がどこから排出されたかについては不明であり、調査する必要がある」と述べている。
4種類の気体のうち、3種類はクロロフルオロカーボン(CFC)類だ。CFCに属する一部の化学物質は、従来はエアコン、冷蔵庫、エアロゾルスプレー缶などに用いられていたが、国連(UN)の「モントリオール議定書(Montreal Protocol)」によって使用が禁止された。
残る1種は、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類の一種。これが属する極めて近い種類の化合物群は、CFCの代替物として使用されたが、現在は段階的に廃止されている。
今回新たに特定された4種類の気体は、2012年までに7万4000トン以上が大気中に蓄積されたと研究チームは指摘している。ただ、1980年代のピーク時には年間100万トン以上に及んだCFC排出量と比較すると、これは非常に少ない量だ。