【3月6日 AFP】米航空宇宙局(NASA)のチャールズ・ボールデン(Charles Bolden)長官は4日、ウクライナ情勢をめぐり国際社会に緊張が広がる現在も、NASAとロシアとの関係に影響はないという認識を示した。

 国際宇宙ステーション(International Space StationISS)で、ロシアは大きな役割を果たしている。米国の宇宙船は2011年に任務を終えているため、ISSとの往復には米国人宇宙飛行士らもロシアの宇宙船ソユーズ(Soyuz)を利用している。その費用として米国はロシアに約7000万ドル(約72億円)を支払っており、米民間企業が有人宇宙船を再び建造できるまで、あと数年はこの状態が続くものと見込まれている。

 バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が提案した2015会計年度予算に関する記者会見で、NASAとロシアとの関係について記者らから質問を受けたボールデン氏は、何も変化はないと断言。「現時点では、われわれとロシアとの関係は全てが通常通り」で、「情勢は注視し続けるが、宇宙での米露の提携関係は損なわれることなく正常だ」と繰り返し強調した。

 同長官はさらに、宇宙で米露が提携を始めてからすでに長い年月が経っており、2008年にアブハジア(Abkhazia)自治共和国と南オセチア(South Ossetia)自治州の独立問題をめぐりロシアとグルジアが争った時にも影響は出なかったことに触れ、「米国はISSに13年一度も途絶えることなく参加しており、その間複数の国際危機を乗り越えてきている事実を、人々は忘れがちだ」と指摘した。(c)AFP