【3月5日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は4日、訪問中の米国でマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)パレスチナ自治政府議長を名指しし、イスラエルをユダヤ人国家と認め、イスラエルを難民で満たそうという「空想を捨てる」よう呼び掛けた。

 この発言にパレスチナ側は怒りをあらわにし、ネタニヤフ氏の要求を非難した上、米主導の和平交渉を事実上破綻させたという見方を示した。

 ネタニヤフ氏は米国の親イスラエル系ロビー団体「アメリカ・イスラエル公共問題委員会(American Israel Public Affairs CommitteeAIPAC)」の年次政策会合の出席者らに向けた演説で、「歴史的な和平」を実現させる用意があるが、それにはまずパレスチナ人がユダヤ人国家を承認することが前提条件になると述べた。

 演説の中でネタニヤフ氏は「パレスチナ人は歴史の否定をやめるべき時に来ている」と述べて今年4月の期限が迫る中進展が見られない和平交渉での主な対立点に触れ、「アッバス議長、ユダヤ人国家を承認してください。そうすれば、イスラエルを難民で満たそうという幻想を捨てるよう、パレスチナ人を説得することにつながる」と述べた。さらに、「ユダヤ人国家を認めれば、この争いを終わらせるパレスチナ側の準備が真に整っているという意思表明になる。言い訳は要らない、猶予はできない、今がその時だ」と続けた。